抄録
症例は59歳,女性.14年前に左卵巣癌(粘液性嚢胞腺癌)にて両側付属器切除術,子宮全摘術を施行されていた(stageIa).右鼠径部膨隆を自覚し,当科を受診した.右鼠径部に3cm大の腫瘤を触知し,体位変換を行っても大きさは変化せず,用手還納も不能であった.USにて内部が均一な低エコー像を認め,CTにて右鼠径部に内部が均一で水と同等のCT値を持つ低吸収域を認めた.以上よりNuck管水腫の診断にて手術を施行した.腫瘤は鼠径管内に存在し,子宮円索と癒着していた.内鼠径輪の部位において腫瘤は硬い充実性組織で形成されていた.腫瘤摘出後,Mesh-plug法を施行した.病理組織学的検査では水腫内に類内膜腺癌を認め,免疫組織染色にてcytokeratin7(+),CA125(+),CEA(-),cytokeratin20(-)であった.Nuck管水腫内に発生した腺癌の報告例は自験例を含めて世界で3例しかない.