日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
若年性閉鎖孔ヘルニアの1例
石多 猛志佐藤 裕二服部 正一村田 祐二郎坂東 道哉森 正樹
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 8 号 p. 2160-2164

詳細
抄録

患者は48歳,女性.腹痛・嘔吐で翌日近医受診.イレウスの診断で当院紹介となった.既往にうつ病・拒食症がありBMI(Body mass index)12.9kg/m2と「やせ」が強かった.単純X線写真で拡張した小腸ガスとniveau像を認め,腹部CT所見では右閉鎖孔より大腿内側に逸脱した小腸を認めたが,壁の造影効果は保たれていた.以上より,右閉鎖孔ヘルニアと診断し開腹した.嵌頓は自然整復されていたが,回盲部から20cm口側の小腸約5cmにわたり発赤とその両端に圧痕を認めた.陥入したヘルニア嚢を切離し,メッシュシートで閉鎖孔を被覆した.術後経過良好で第10病日に退院し,術後18カ月現在再発を認めていない.2008年まで過去10年間で年齢の判明した569例中54歳以下は11例(1.9%)であった.BMIは11例中8例に記載され日本肥満学会基準で7例が「やせ」であった.比較的若年女性の閉鎖孔ヘルニアは,より「やせ」が著しいことが示唆された.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top