日本臨床外科学会雑誌
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症例
内視鏡治療後に再発した十二指腸血管腫の1例
佐藤 嘉紀小畑 真介木村 俊久竹内 一雄山口 明夫今村 好章
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2011 年 72 巻 12 号 p. 3065-3069

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抄録

今回,われわれは内視鏡治療後に再発した十二指腸血管腫の1切除例を経験したので報告する.症例は72歳女性で平成19年7月頃より貧血症状出現し,他院で上部消化管内視鏡検査で十二指腸腫瘍を指摘され内視鏡治療(エタノール局注や粘膜切除術)が施行され病理結果は十二指腸血管腫であった.以降 外来通院中であったが,平成20年3月ごろより通院中断していた.平成20年6月 労作時呼吸苦を訴え前医受診し,高度貧血を指摘され,当院内科に紹介された.当院で各種検査を行ったところ,十二指腸下行脚に出血性腫瘍を認めたが,腫瘍サイズも大きく内視鏡的切除は困難と判断し手術目的に外科転科となった.手術は術中内視鏡を施行しつつ,十二指腸局所切除術を施行した.十二指腸の周囲組織は前回のエタノール局注の影響のためか高度瘢痕化を認め,切除後の十二指腸腫瘍の病理診断は血管腫であった.十二指腸血管腫の報告例は非常に少なく,さらに切除後の再発報告もないため貴重な症例であると考えられた.

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