日本臨床外科学会雑誌
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症例
集学的治療で長期間無再発生存中の胃GIST術後多発性肝転移の1例
小川 博臣竹吉 泉須納瀬 豊吉成 大介戸塚 統戸谷 裕之
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キーワード: GIST, イマチニブ,
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2011 年 72 巻 3 号 p. 663-669

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抄録

症例は54歳,男性.検診で左副腎の異常を指摘され,画像検査で左副腎腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は脾臓および胃壁と一塊となっており合併切除を施行した.病理学的検索の結果,腫瘍は胃壁との連続性を認めるが副腎とは明らかに境界を認め,免疫組織学的検査でc-kitとCD34が共に陽性であり,胃原発GIST(gastrointestinal stromal tumor)と診断された.初回手術から2年2カ月目に多発肝転移を認め,肝外側区域切除とS6・S7部分切除術を施行した.その後も多発肝転移を認め,計3回radiofrequency ablationを施行した.再発までの期間が徐々に短くなったためイマチニブの投与を開始したところ,初回再発から6年7カ月経過した現時点まで再発は認めていない.GIST切除後の肝再発に対してはイマチニブ投与が原則であるが,特に初回治療から再発までの期間が長い症例では,切除可能病変には積極的な外科治療も考慮すべきである.

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© 2011 日本臨床外科学会
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