日本臨床外科学会雑誌
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症例
蛋白漏出性胃腸症を合併した1型進行胃癌の2例
櫻庭 一馬根本 洋齋藤 充生岡田 一郎横溝 和晃日比 健志
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キーワード: 蛋白漏出性胃腸症, 胃癌
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2011 年 72 巻 3 号 p. 670-674

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抄録

蛋白漏出性胃腸症を合併した胃癌(以下,本症)の2例を経験した.症例1は69歳の男性で体重減少を主訴に当院を受診した.低蛋白血症(TP 5.8g/dl,Alb 2.9g/dl)と胃体部に巨大な1型腫瘍を認めた.99mTc-HSAシンチグラフィにて腫瘍からの蛋白漏出が確認され,本症と診断した.幽門側胃切除を施行し,低蛋白血症は改善した.症例2は57歳の男性で食事のつかえを主訴に当院を受診した.症例1と同様に低蛋白血症(TP 5.9g/dl,Alb 2.9g/dl)と前庭部に巨大な1型腫瘍を認め,99mTc-HSAシンチグラフィにて本症と診断した.術中,膵浸潤を認め幽門側胃切除,膵頭十二指腸切除,腸瘻造設を施行し,術後合併症もなく低蛋白血症は改善した.本症に伴う低蛋白血症は難治性で保存的加療はほぼ無効であり,早期の手術が重要である.しかし,本症では低栄養状態が必発であり,手術のハイリスク群であることを熟知しなければならない.

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© 2011 日本臨床外科学会
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