抄録
症例は75歳,男性.6年前に頸部リンパ節腫脹精査で成人T細胞性白血病(ATL)lymphoma typeと診断され,化学療法で一時寛解していた.3カ月前に多発リンパ節再発を指摘されたが,本人の希望により積極的な化学療法は行わず,低用量エトポシド療法のみ施行し経過観察としていた.今回は,上腹部痛にて受診し,消化管穿孔と診断され,緊急開腹術を施行.術中所見で,空腸に白色多発病変と約5mmの穿孔を認め,小腸部分切除を行った.術後7日目に病理組織検査所見よりサイトメガロウイルス(CMV)感染による小腸穿孔と判明し,ガンシクロビル投与を開始した.しかし術後8日目に創部感染,創し開から腸管脱出が生じ,再度閉腹術を施行したが急速に全身状態が悪化.術後9日目に多臓器不全で死亡された.ATL患者の消化管穿孔症例においては,CMV感染症も念頭に置き,早期の診断治療が必要になると考えられた.