日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸間膜膿瘍を形成した穿通性回腸憩室症の2例
鈴木 紳祐杉田 光隆茂垣 雅俊福島 忠男舛井 秀宣長堀 薫
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2011 年 72 巻 3 号 p. 698-704

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抄録

小腸憩室はまれな疾患である.Meckel憩室を除くと,その多くは腸間膜側に発生するため,穿通をきたした際には腸間膜膿瘍を形成することが多い.今回われわれは,腸間膜膿瘍を術前にCT検査で診断し手術を施行した回腸憩室穿通の2例を経験したので報告する.症例1:79歳男性.右下腹部痛を主訴に紹介受診した.CT検査で回盲部腸間膜側の膿瘍と上行結腸憩室を認めたため,上行結腸憩室炎の穿通による腸間膜膿瘍と診断し,回盲部切除術を施行した.症例2:63歳男性.近医で大腸内視鏡検査を施行した後,発熱・腹部膨満感が出現したため当院紹介受診となった.CT検査で小腸間膜内に膿瘍形成を認め,小腸穿通による腸間膜膿瘍の診断で小腸切除術を施行した.共に病理組織検査で,回腸憩室穿通による腸間膜膿瘍と診断した.回腸憩室の存在を術前に診断することは困難であるが,CT検査で腸間膜膿瘍を認めた際には本疾患を念頭に置く必要がある.

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