抄録
膵リンパ上皮嚢胞は,術前に確定診断がつけば絶対的手術適応はないが,悪性疾患との鑑別が困難なため切除されることの多い非腫瘍性嚢胞性疾患である.膵では比較的稀だが,脂腺成分を伴う症例はさらに少ない.症例1は,膵体尾部に境界明瞭な嚢胞性腫瘤を認め,術前正診がつかず膵体尾部切除を行った.症例2は,膵尾部に境界明瞭で内部に充実成分を伴う嚢胞性腫瘤を認め,症例1の経験から術中に確定診断を得て,核出術で手術を終了した.病理組織学的に,嚢胞内壁が重層扁平上皮で覆われさらにリンパ組織の形成と脂腺成分を認め,脂腺成分を伴う膵リンパ上皮嚢胞と診断した.