日本臨床外科学会雑誌
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症例
カペシタビン内服後短期間で白質脳症を発症した1例
上田 毅濵上 知宏福本 陽二中村 誠一澤田 隆清水 哲遠藤 昭博浅井 泰雅
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2011 年 72 巻 4 号 p. 846-850

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抄録

症例は62歳,男性.多発結腸癌および直腸癌に対しD3郭清を伴う直腸切断術が施行された.総合所見がf-StageIIIaであったことから補助化学療法としてカペシタビン単独療法を外来にて開始した.内服開始4日目,歩行困難,全身倦怠感,精神錯乱にて再来され,脳MRIにて白質脳症と診断された.薬剤の中断と対症療法により数日で症状は軽快しMRI所見でも白質脳症に伴う変化は消失した.薬剤性の白質脳症は様々な抗腫瘍薬で発症が報告されているが,カペシタビンによる白質脳症の本邦報告例は無い.自験例ならびに海外の報告からは,内服開始から発症までの期間が数日間と短い傾向があり,初回投与の際に十分な注意が必要と思われる.

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© 2011 日本臨床外科学会
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