日本臨床外科学会雑誌
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症例
イレウスで発症した乳癌小腸転移の1例
星野 伸晃吉原 基平松 和洋加藤 岳人
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キーワード: 乳癌, 小腸転移, MDCT
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2011 年 72 巻 4 号 p. 898-902

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抄録

症例は71歳,女性.2002年8月に左乳癌に対して乳房温存術+センチネルリンパ節生検を施行した(T2N0M0:stageIIA,浸潤性小葉癌,ER(+),PgR(+),HER2(-)).術後補助療法として残存乳房照射とAnastrozoleを5年間内服した.無再発通院中であったが,2009年9月に腹痛を主訴に当院を受診し,CT検査でイレウスと診断され入院となった.保存的治療では軽快せず,Multidetector-row CT(MDCT)検査で小腸に器質的狭窄を認めた.原発性小腸腫瘍または乳癌小腸転移を疑い,第10病日に待期的手術を施行した.術中所見はバウヒン弁から90cmの回腸の全周性狭窄と,その他に散在する小腸間膜結節を認め,小腸部分切除術を施行した.病理組織検査で乳癌小腸転移と診断した.術後経過は良好で第22病日に軽快退院し,現在,Letrozole内服治療中である.乳癌小腸転移という稀な症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.

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