人間ドック (Ningen Dock)
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原著
受診行動につながる精検受診勧奨方法の検討
―精検受診時期と受診行動促進要因に着目したアンケート調査―
葛谷 洋子赤川 知佳赤塚 紀子古田 博子小川 和雅瀬谷 彰野村 幸史
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2022 年 37 巻 4 号 p. 664-674

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抄録

目的:当施設では,要医療・要精密検査対象者に対して人間ドック受診当日に紹介状を発行するとともに,結果面談や保健指導の場で受診勧奨を行い,さらに健診後日にも電話や手紙による受診勧奨を実施している.今回,精検受診時期と受診行動促進要因を比較し,さらなる精検受診率向上のために当施設の取り組みの有効性と強化すべき点を見出し,受診行動につながる受診勧奨方法を検討した.

方法:2020年6月9日から2020年9月30日の人間ドック受診者のうち,前年度紹介状を発行された受診者354名,380項目を対象とした.対象者を健診後から精検受診するまでの期間で分類し,精検受診に影響した要因についてアンケート調査を実施した.

結果:精検受診していた項目のうち90.9%が健診後3ヵ月未満に受診しており,健診後3ヵ月を過ぎると,受診勧奨をしても多くが未受診のままであった.精検受診に影響した要因は,すべての受診時期で「当施設からの当日受診勧奨」が最も多く回答された.3ヵ月未満の精検受診行動には,他に「医療機関の情報」,「受診必要性の自覚」,「周囲の環境」が影響していた.

結論:精密検査受診行動は健診後3ヵ月未満に起こりやすく,健診当日の受診勧奨が受診行動につながる最大の促進要因であった.健診受診当日に精検受診意欲を高め,健診後から3ヵ月未満を目安に受診行動をとれるように働きかけることが,受診行動につながる有効な受診勧奨方法であると示唆された.

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© 2022 公益社団法人 日本人間ドック学会
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