抄録
症例は66歳,女性.定期検査で施行した大腸内視鏡でS状結腸癌を指摘され手術目的に当科入院.生検結果は高から中分化型腺癌であった.局所のsm浸潤が強く疑われたため腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術直後の血液検査で血清アミラーゼ824mg/dl,血清リパーゼ2179mg/dlと高値を示したが,背部痛なく腹部CT検査上も膵およびその周囲に異常所見なく膵炎は否定的であった.蛋白分解酵素阻害剤を投与し保存的治療を行ったところ,術後2病日目には血清アミラーゼ,リパーゼともに正常化した.病理組織所見では高~中分化型腺癌,深達度sm2,ly1,v0,pN0で,病変部のアミラーゼ染色結果が陽性でありアミラーゼ産生腫瘍と診断された.本邦では肺腫瘍に随伴するアミラーゼ産生腫瘍の報告例は散見されるが,結腸癌での報告はない.非常に稀なアミラーゼ産生S状結腸癌の1切除例につき報告する.