日本臨床外科学会雑誌
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症例
未成年者に発症した上行結腸印環細胞癌の1例
野間 大督長谷川 慎一吉田 達也米山 克也笠原 彰夫山本 裕司
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キーワード: 印環細胞癌, 大腸, 若年者
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2011 年 72 巻 4 号 p. 931-935

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抄録

症例は19歳,男性.臍周囲痛,嘔気を主訴に当院内科受診.右下腹部に圧痛を伴う5cm大の腫瘤を触知した.腹部CTで上行結腸の肥厚・狭窄を認め,また腹部超音波でTarget sign様の所見を認めたため腸重積症と判断し緊急手術を施行したが,手術所見では腸重積の所見はなく硬く隆起した所見から上行結腸癌を疑い,右結腸切除術+D3リンパ郭清を行った.病理診断はsig.腫瘍径40×60mm,SS N1H0P0M0,stageIIIa.補助化学療法としてUFT/LV療法を施行した.術後10カ月目にリンパ節転移にて再発した.
大腸印環細胞癌は非常に稀で発症頻度は全大腸癌の0.7%とされている.さらに若年発症では本邦では未だ報告が少ないのが現状である.高度進行例の多い若年者の大腸印環細胞癌にあっては,予後の向上を目指した集学的治療の確立が待たれる.

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