日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
両側多発スリガラス状陰影主体病変に対する肺切除例の検討
白藤 智之田村 和貴永安 武中村 徹大曲 武征
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1678-1684

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抄録

近年小型肺癌切除例は増加傾向にあるがその際両側に多発性に存在する場合,全てを切除すべきかどうか苦慮する場合がある.今回われわれは両側多発スリガラス状陰影(GGA)主体病変を示す肺切除例を経験したため検討を行った.1992年から2008年までにCT上両側に少なくとも3個以上のGGA主体病変を発見され手術を行った9例を対象とした.男性2例女性7例,病変数は1症例あたり3~14病変,合計60病変でうちGGA病変は53病変.切除された病変は32病変で組織型はAAH6病変,BAC16病変,その他5病変,非腫瘍性5病変であった.1例が多発肺転移,1例が定位放射線療法(SRT)施行部位増大で死亡した.生存症例に新たな病変出現はなく,いずれも9mm以下で増大傾向もなかった.10mm以上の病変は可及的に根治性を保ち切除手術を行うことが望ましいと考えられた.切除が不可能な病変にのみ,SRT,ラジオ波凝固療法,分子標的治療薬などの治療法対象となると思われた.

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