抄録
症例は72歳,男性.38℃台の発熱にて当院救急に来院.血液検査上,炎症所見および黄疸を認め腹部US施行,肝S3-4に腫瘤および液状成分を認めたため肝膿瘍と診断された.CTでは造影効果の低い直径67mmの腫瘤と内部に少量の液体成分を認め,穿刺組織診では未分化癌との診断であった.炎症軽快後,肝拡大左葉切除術を施行,病理標本では一部骨形成,軟骨形成をきたし,破骨巨細胞,紡錘形細胞が混在する一方,上皮性成分を示すサイトケラチンが陽性,またαフェトプロテインは陰性であったものの肝細胞癌に特徴的なマーカーであるGlypican3が陽性であり,肝癌派生の癌肉腫との診断であった.肝癌肉腫はきわめてまれな疾患であり,現在までに約40例前後の報告がみられるのみである.一方,肝内に造影効果の低い腫瘍を認め,石灰化の存在など画像上典型的でない場合には,肉腫の存在を考慮する必要がある.