日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
最新文献紹介
大腸内視鏡の腺腫発見率に関する,通常送気化挿入法と無送気浸水法2種類(water exchange法とwater immersion法)の前向き多施設ランダム化比較試験
炭山 和毅
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2017 年 59 巻 9 号 p. 2456

詳細
抄録

【背景】腺腫発見率Adenoma detection rate(一つ以上の腺腫が見つかった症例数/全大腸内視鏡検査数,以下.ADR)は,大腸内視鏡の質の重要な指標として国際的に認識されている.本研究では,通常送気下大腸内視鏡挿入法(AI)と,無送気浸水法による挿入法2種類,すなわち,スコープ挿入中に残渣や空気があった場合,それらを吸引してから水を注入し,その水の除去は主に挿入中に行うWater Exchange法(WE)と,挿入中に視野が取れない時に適宜水を注入し,その水の除去は主に抜去時に行うWater Immersion法(WI)を比較し,WEはADRを改善し得るが,WIはAIと同等である,という仮説をもとにランダム化比較試験を実施した.

【方法】本前向き研究は,台湾南部にある慈済総合医院大林分院と台湾東部にある花蓮慈済医院において実施された,ADRを主要評価項目とするランダム化比較試験で,症例はWE群,AI群,WI群のいずれかに割り付けられ,3人の内視鏡医別に層別化された.サンプルサイズはPower80%,α0.05として各群217例と算定された.

【結果】2013年7月から2015年12月までに651名が本研究に参加し,各群へ217名ずつ均等に割り付けられた.その結果,各群のADRは,WE群は49.8%(95% CI,43.2%-56.4%),AI群は37.8%(95% CI,31.6%-44.4%),WI群は40.6%(95% CI,34.2%-47.2%)であった.WEは,AIに比べADRが有意に高く(p=0.016),WI群とWE群間に,ADRの有意差は認められなかったものの,WIとAIのADRは同等であった.WEはAIに比べると挿入時間が長く,腸管洗浄度は良好であったが,陽性検査内の腺腫発見数(adenoma per positive colonoscopy:APPC)やポリープ切除も含めたスコープ抜去時間は変わらなかった.サブグループ解析では,プロポフォール使用時には,WEによるADRが有意に改善していた.線形回帰モデルによる多変量解析では50歳以上の症例,WEの適用,大腸内視鏡の適応,初回の大腸内視鏡,また,8分以上の抜去時間がADRを有意に上昇させる要因であった.

【結語】既報と同様に,WEはADRを向上させるがWIは影響がないことが明確になった.特にプロポフォール使用時にはWEによるADRは,より大きく改善していた.スコープ挿入法によるADRの変化が明らかになったことによって,WEによる大腸癌予防における妥当性が示されたものと考えられる.また,陽性検査内の腺腫数やスコープ抜去時間には差が認められなかったことから,本研究では,いずれの群においてもスコープ抜去中には適切な観察が行われていたと考えられた.(Clinical trial registration number:NCT01894191.)

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top