日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸癌術後孤立性脳転移の1例
林 友樹宮田 完志湯浅 典博竹内 英司後藤 康友小林 陽一郎
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キーワード: 脳転移, 大腸癌, 血行性転移
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2011 年 72 巻 8 号 p. 1937-1941

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抄録

症例は67歳,女性.2007年,上行結腸癌の診断で結腸右半切除術を施行した.長径5.5cm,2型の腫瘍で中分化型腺癌,SS(pT3),pN2,1y3,v1,fStageIIIbと診断された.術後25カ月目に左半身不全麻痺が出現し,頭部造影MRIにて右頭頂葉に径19mmの単発腫瘤を認めた.全身検索にて脳以外には再発所見を認めず,孤立性転移性脳腫瘍と診断し開頭腫瘍摘出術を施行した.脳腫瘍は上行結腸癌の組織像と類似した腺癌で,大腸癌脳転移と診断された.術後40Gyの全脳照射を追加し,現在術後20カ月無再発生存中である.大腸癌術後脳転移は,一般に多発していたり他部位に遠隔転移を伴うことが多く予後不良であるが,孤立性脳転移の長期生存例の報告もみられる.大腸癌術後のフォローアップを行う際は,脳も転移部位の一つとして注意すべきである.

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© 2011 日本臨床外科学会
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