日本臨床外科学会雑誌
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症例
単孔式腹腔鏡補助下イレウス解除術を行った胆石イレウスの1例
南野 佳英中村 文隆中村 透鈴木 温安保 義恭樫村 暢一
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2012 年 73 巻 1 号 p. 108-111

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抄録

単孔式腹腔鏡下に解除しえた胆石イレウスの症例を経験したので報告する.症例は統合失調症を有する手術歴のない56歳女性で,保存加療で改善しないイレウスの加療目的に当院紹介となった.腹部単純X線写真で小腸の拡張像に加え,下腹部正中に3cm大の石灰化陰影と,pneumobiliaを認め,胆石イレウスの診断で緊急手術を施行した.単孔式腹腔鏡にて観察すると胆嚢周囲の癒着は著しく,拡張した回腸の先端に嵌頓した結石を疑う腫瘤を触知した.単孔式ポート挿入部から結石嵌頓部位の小腸を腹腔外に導出し,小腸壁に2cmの切開を加えて胆石を摘出した.胆石イレウスの手術治療は,侵襲度を考慮し,腹腔鏡補助下手術の有用性が報告されている.単孔式腹腔鏡補助下手術では,さらに最小限の創で低侵襲かつ安全に手術が可能であった.

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© 2012 日本臨床外科学会
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