抄録
上部消化管バリウム検査後の結腸・直腸穿孔は非常に稀である.われわれは検診のバリウム検査後に直腸穿孔をきたし,バリウムによる腹膜炎で術後長期にわたり炎症反応や麻痺性腸閉塞が遷延し治療に難渋した症例を経験した.症例は47歳,女性.上部消化管バリウム検査後4日目に直腸穿孔による腹膜炎・敗血症を起こし,腹腔洗浄ドレナージおよび人工肛門造設術を行った.術後,炎症反応や麻痺性腸閉塞の遷延を認めた.このため術後1カ月の間,イレウス管による治療を余儀なくされた.その後症状は軽快したため退院し,初回手術から8カ月後には人工肛門閉鎖術を行い現在まで2年の間,腸閉塞など術後合併症なく経過している.本疾患は医原性であるが死亡率の高い重篤な病態であり注意を要する.若干の文献的考察を加え報告する.