抄録
症例は72歳,男性.10年前からの両側鼠径部腫脹を主訴に当科を受診した.来院時,両側鼠径部から陰嚢はサッカーボール大に著明に腫大し,陰茎は腫大した陰嚢内に埋没していた.腹部CTでは腸管の脱出を認め,両側巨大鼠径ヘルニアと診断し,手術を施行した.手術所見ではヘルニア嚢内に右側は回盲部,横行結腸の脱出を認め,左側はS状結腸の脱出を認めた.右側はKugel Patch(Lサイズ),左側はDirect Kugel Patch(Lサイズ)を用いヘルニア門を修復した.手術においてヘルニア内容還納に伴う循環動態や呼吸状態の変動が予想されたため,右へルニア内容還納後,左へルニア内容還納後,右Patch留置後,左Patch留置後と順次一過程毎に血圧や経皮的酸素飽和度などの変動に注意しつつ手術を継続した.術後経過は順調であった.術後2年を経った現在もヘルニアの再発は認めていない.