症例は46歳,女性.全身倦怠感を主訴に前医を受診し,Hb 5.4g/dlと貧血を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった.腹部症状は特に認めなかった.造影CTにて,十二指腸内腔に40mm大の腫瘤を認め,上部消化管内視鏡検査にて,十二指腸球部より発生し,先端は十二指腸下行脚に及ぶ有茎性腫瘍を認めた.Brunner腺過形成・過誤腫・腺腫,脂肪腫などが疑われた.大きさより内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;以下EMRと略記)は困難と判断され,手術施行となった.手術は十二指腸球部から下行脚に切開を加え,腫瘍の基部で結紮切除した.病理組織学的検査でBrunner腺過誤腫と診断された.Brunner腺過誤腫はまれな疾患であるが,上部消化管出血の原因として考慮すべきである.