抄録
Crohn病の合併症として瘻孔形成はよく知られているが,腸管膀胱瘻はまれとされている.また,瘻孔内に腫瘍が発生する頻度はさらに低い.今回,Crohn病による回腸膀胱瘻に発生した瘻孔癌を経験したので報告する.症例は53歳,男性.28年前にCrohn病による腸閉塞症で小腸バイパス術施行.平成23年1月,腸閉塞症状を主訴に紹介医を受診.腹部CT検査で膀胱壁の肥厚と周囲腸管の癒着を認めた.膀胱鏡検査で内腔に突出する腫瘍を認め,生検で腺癌と診断.小腸癌による膀胱浸潤の診断で,回盲部切除術,膀胱部分切除術を施行.病理組織学的検査で,腫瘍は瘻孔腔から発生した瘻孔癌と診断した.Crohn病で長期間の瘻孔形成を認める症例は,瘻孔癌の発生も念頭に置き,注意深くfollow-upしていく必要があると考えられた.