日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
臍部子宮内膜症の1例
橋本 知実中川 国利高舘 達之深町 伸小林 照忠鈴木 幸正
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 73 巻 11 号 p. 2969-2972

詳細
抄録

症例は42歳女性で,3年前から臍部に腫瘤を触れ,2カ月前から疼痛も生じたため来院した.来院時,臍部に径2cm大で圧痛を伴う,表面平滑な弾性硬の腫瘤を触知した.なお腫瘤から出血や排膿はなく,疼痛は月経周期と一致しなかった.腹部CT検査や超音波検査では臍部に2.0×1.5cm大で内部不均一な腫瘤を認め,子宮左側に4cm大の嚢胞状構造を認めた.臍部子宮内膜症を疑い,腹腔内を検索するため最初に腹腔鏡検査を施行した.臍直下の腹壁に軽度の膨隆を認めたが,腸管や腹膜に異常所見は認めなかった.また左卵巣にチョコレート嚢腫を認めた.そこで腫瘤を含めて臍を切除し,臍形成術を施行した.病理組織検査では臍部子宮内膜症と診断された.生殖可能な女性における臍部腫瘤では,月経随伴性の疼痛や出血がなくても子宮内膜症は遭遇しうる疾患である.今回の症例では腹腔鏡検査は有用であった.

著者関連情報
© 2012 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top