2012 年 73 巻 11 号 p. 2973-2977
症例は40歳,女性.他院にて回腸末端から盲腸にかけての壁肥厚を伴う腸閉塞を指摘されたが,同院でのDouble balloon内視鏡検査では異常所見を指摘されなかった.退院後,症状が再燃したため,当院紹介となった.イレウス管での減圧処置後,小腸造影を施行し,回腸末端から盲腸にかけて狭窄を認めたため,手術目的に外科紹介となった.回腸末端から盲腸にかけて炎症性に壁肥厚を認めたため腹腔鏡下にリンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行した.病理組織学的診断では回腸から盲腸にかけて,粘膜下層から漿膜下層に異所性子宮内膜の増生を認め,所属リンパ節(#201)にも同様の子宮内膜組を認めた.今回,腸閉塞を契機に発見されたリンパ節病変を伴う回盲部腸管子宮内膜症に対して,腹腔鏡下に回盲部切除術を施行し,良好な結果が得られた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.