抄録
後腹膜線維症は後腹膜結合織に炎症細胞浸潤と線維性増殖を生じ,IgG4との関連から一部に自己免疫の関与も示唆されている.今回,診断確定に腹腔鏡下生検が有用であった2例を経験したので報告する.症例1:66歳,男性.乏尿の精査で,CT上,腹部大動脈下部から両側総腸骨動脈周囲に広がる軟部陰影と両側水腎症を認め,後腹膜線維症が疑われたが,IgG4は正常範囲内であったので生検した.症例2:70歳,男性.前立腺癌疑いの精査中,CT上,右水腎症と右総腸骨動脈,右内腸骨動脈周囲に軟部陰影を認め,IgG4高値から後腹膜線維症が疑われたが前立腺癌の転移の可能性も否定できないため生検した.両症例とも病変部が主要な血管の近傍に存在し,CTガイド下針生検は血管損傷のリスクが高く困難であったので,腹腔鏡下に生検し特発性後腹膜線維症と診断できた.腹腔鏡下生検は安全かつ低侵襲で行える方法として有用であると考えられた.