日本臨床外科学会雑誌
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症例
多発肝再発巣を完全切除した下大静脈原発平滑筋肉腫の1例
石橋 雄次伊藤 豊石黒 深幸真崎 純一大森 敬太若林 和彦
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3081-3085

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抄録

症例は61歳,女性.腹部腫瘤を自覚し近医受診.精査目的で当院紹介となった.腹部CT検査で右後腹膜腔に分葉状の比較的境界明瞭な15cm大の腫瘤を認め,後腹膜腫瘍の診断で手術を施行した.下大静脈に約4cmの腫瘍浸潤を認めたため下大静脈合併腫瘍切除術を施行した.病理診断は下大静脈原発平滑筋肉腫であった.術後17カ月の腹部CT検査で肝S2,5,6,8に肝再発巣を認め,肝部分切除を施行し完全切除しえた.再発巣切除後12カ月の胸腹部CT検査で多発肝転移,肺転移を認めた.その後緩和治療の方針とし初回手術から29カ月でホスピスへ転院となった.下大静脈原発平滑筋肉腫は再発率が高く,再発後の治療は困難なことが多い.過去の報告例で再発巣の完全切除が可能であった報告は本邦で5例のみとごく少数である.今回多発肝再発巣を完全切除しえた下大静脈原発平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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