日本臨床外科学会雑誌
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症例
Granulocyte colony-stimulating factor産生胃癌の1例
渡辺 博行世古口 英小林 聡深見 保之伊藤 哲
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3117-3122

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抄録

症例は75歳,男性.食思不振を訴えて受診.血液生化学検査では白血球23,900/μl,腹部造影CTで膵浸潤を伴う巨大胃腫瘍を認め,肺,肝に異常所見は認めなかった.上部消化管内視鏡では胃体上中部後壁に1型腫瘍を認め,生検結果は低分化腺癌であった.血清G-CSF値は259pg/ml(基準値18.1pg/ml以下)と高値であった.胃全摘術(D2),膵体尾部・横行結腸・左副腎合併切除術を施行した.胃癌取扱い規約第14版に準じた病理組織学的所見は充実型低分化腺癌(por1),T4b(SI),int,INFβ,ly3,v2,N2,H0,P0,CYX,M1(LYM),Stage IV,免疫組織染色では腫瘍細胞は抗Granulocyte Colony-stimulating Factor抗体陽性であった.術後白血球数は正常化したが,早期に膨大動脈リンパ節再発をきたし,84PODに原病死した.

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© 2012 日本臨床外科学会
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