日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝転移とリンパ節転移を伴う胃内分泌細胞癌を併発したAFP産生胃癌の1例
浅川 真巳鈴木 哲也角田 元近藤 哲夫
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3123-3128

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抄録

症例は69歳,男性.黒色便を主訴に当科を受診.内視鏡検査で胃体上部から幽門部小弯に連なる1型病変と3型病変を認め,CTにてリンパ節と造影効果に乏しい後区域単発肝転移の所見を伴っていた.生検にて低分化型腺癌と診断し胃全摘術,D2郭清,肝部分切除術を施行.術後,胃内分泌細胞癌とα-fetoprotein(AFP)産生胃癌である胎児消化管上皮類似癌の併存と診断され,肝転移とリンパ節転移は全て内分泌細胞癌だった.CPT-11+CDDPを2クール施行したが継続できず切除後6カ月で単発性肝転移再発を認めた.ダイナミックCTにて肝細胞癌に類似した造影パターンであったが肝部分切除施行し内分泌細胞癌であった.CPT-11を4クール施行し初回手術から22カ月現在再発を認めていない.胃内分泌細胞癌とAFP産生胃癌である胎児消化管上皮類似癌が併存した極めてまれな1切除例を経験したので報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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