日本臨床外科学会雑誌
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症例
末梢挿入型中心静脈カテーテル関連静脈血栓症を生じた2例
三浦 光太郎田中 浩明六車 一哉久保 尚士大平 雅一平川 弘聖
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キーワード: PICC, 静脈血栓症
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2012 年 73 巻 2 号 p. 304-308

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抄録

症例1:70歳,男性.食道癌に対する術前化学放射線療法(CRT)目的で入院,PICCを挿入し,術前CRT29日目に発熱を認め,PICCを抜去.4日後に頸部腫脹を生じ,CTにて左内頸静脈から上大静脈にかけて血栓を認めた.抗凝固療法開始後11日目に頸部腫脹は改善.退院後抗凝固療法継続中で,CT上血栓の増悪は認めていない.症例2:68歳,女性.進行胃癌手術予定であった.食事摂取不能のためTPN施行目的にPICCを挿入.3日目に術前精査目的に施行したCTで左内頸静脈と左鎖骨下静脈に血栓を認めた.PICCを抜去,抗凝固療法を開始し,1週間後CTで血栓縮小傾向を認め,胃全摘術を施行した.退院後抗凝固療法継続中で,5カ月後にCT上血栓は消失した.結語:消化器癌治療においてPICC関連静脈血栓症は長期留置例や低栄養状態例に生じる可能性が示唆された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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