日本臨床外科学会雑誌
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症例
早期胃癌に併存したサルコイドーシスの1例
村井 俊文山村 義孝稲岡 健一福岡 伴樹三輪 高也佐野 正明
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2012 年 73 巻 2 号 p. 340-345

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抄録

症例は78歳,女性.検診目的ため胃内視鏡検査を受けたところ,前庭部大彎の早期胃癌と診断され,精査加療目的で紹介受診した.術前CTで,縦隔から両側肺門部にかけての最大2cmに及ぶリンパ節腫大と,総肝動脈,大動脈周囲リンパ節の腫大を認めた.早期胃癌に併存した全身性リンパ性疾患を疑い,胃癌治療と腹腔内リンパ節生検の目的で手術を行った.
病理組織検査の結果,胃癌はsig SM N0であり,郭清リンパ節すべてに乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認めた.眼科的所見やGallium-67 citrateシンチグラム,気管支肺胞洗浄検査等の結果から,最終的にサルコイドーシスと診断した.
後治療なく術後1年半が経過した現在,胃癌の再発はなく,サルコイドーシスの進展も認めていない.

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© 2012 日本臨床外科学会
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