抄録
十二指腸カルチノイドに膵癌,肝細胞癌の同時性2重複癌が併存した1例を経験したので報告する.78歳男性,平成19年6月,十二指腸カルチノイドの診断で当院に紹介され,十二指腸下行脚乳頭部対側に直径1.2cmのカルチノイドを認めた.精査でリンパ節転移,遠隔転移を認めず,十二指腸部分切除予定で手術を施行した.術中,膵鈎部に弾性硬の腫瘤を触れ,カルチノイドのリンパ節転移と診断,さらに肝S4表面に直径1cmの白色の腫瘤を認め,肝転移と診断し,膵頭十二指腸切除術,肝部分切除術を施行した.病理組織学的検査では,膵鈎部の腫瘤は膵癌で,肝腫瘤は肝細胞癌であった.リンパ節転移はなくそれぞれ治癒切除であった.一般に,消化管カルチノイドには悪性腫瘍の合併が多いとされるが,カルチノイドに重複癌が同時に発生した報告は少なく,若干の文献的考察を加え報告する.