日本臨床外科学会雑誌
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症例
左大腿ヘルニア嵌頓修復術後に小腸重積症を発症した1例
中川 朋文元 雄一生島 裕文林部 章荻野 信夫
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2012 年 73 巻 2 号 p. 358-362

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抄録

症例は63歳,女性.2カ月来の食後の腹痛と嘔吐で7kgの体重減少をきたした.原因検索のため下部消化管内視鏡検査が予定された.前処置の下剤を内服したところ便汁性嘔吐が出現し,当科紹介となった.左鼠径部に還納不能な膨隆を触知し,腹部CT検査にて左大腿ヘルニアを認めた.左大腿ヘルニア嵌頓と診断し,緊急腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った.術後6日目に軽快退院したが,食後の嘔吐が再出現したため再入院となった.腹部造影CT検査にて空腸の狭窄と口側空腸の拡張を認めた.小腸狭窄の解除目的にて手術を行った.腹腔内の検索にて空腸重積を認めた.重積を整復後,小腸部分切除を行った.重積部には重積の先進部となるような腫瘍性病変を認めなかった.再手術後は食後の腹痛と嘔吐は消失し,体重は順調に回復した.大腿ヘルニア嵌頓整復術後に稀な疾患である成人小腸重積症を発症した症例を経験したので報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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