抄録
今回われわれはまれな空腸憩室穿孔の1例を経験したので報告する.症例は82歳,男性.主訴は左側腹部痛.2011年1月中旬より腹痛が出現したが,軽快しないため当科外来を受診した.腹部診察上,左側腹部に圧痛および反跳痛があり,腹部CT検査所見では腹腔内にfree airと小腸周囲の限局的な脂肪織の濃度上昇を認めた.消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.Treitz靱帯より20~60cm肛門側の上部空腸に多発する憩室を認め,そのうち最大のものが穿孔をきたしていたため,憩室を含めた空腸楔状切除術および腹腔ドレナージ術を施行した.病理組織学的検査では空腸仮性憩室の穿孔と診断された.術後経過は良好であり,第10病日に退院となった.空腸憩室穿孔はまれであり,術前診断の困難であるとされるが,術前画像診断上小腸周辺に限局する所見であった場合,本疾患も念頭に置き治療にあたる必要があると考えられた.