日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸嵌頓による腸閉塞を伴った大きさ25cmのAmyand's herniaの1例
藤井 武宏須崎 真大倉 康生
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2012 年 73 巻 3 号 p. 709-714

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抄録
症例は76歳,男性.数日前より出現した心窩部痛,発熱と嘔吐を主訴に当院を受診した.初診時の身体所見では右鼠径部から右陰嚢にかけ圧痛を伴う約25cm大の腫瘤を認めた.腹部は軽度に膨満しており,心窩部に軽度の圧痛があったが,腹膜刺激症状は認められなかった.腹部CT検査にて嚢内に小腸と脂肪組織を含んだ巨大な右鼠径ヘルニアがみられ,腹腔内では小腸の拡張が認められた.小腸が嵌頓した右鼠径ヘルニアと診断し,緊急手術を施行した.鼠径部アプローチにて手術を開始したが,ヘルニア嚢を切開したところ膿性腹水の噴水様流出を認め,ヘルニア嚢の内容は大量の大網,80cm長の小腸,盲腸の一部と著明な炎症所見を呈して穿孔をきたした虫垂であった.創外にて虫垂切除をした後,iliopubic tract repairを施行した.術後経過は良好で術後9日目に退院となった.鼠径ヘルニア嚢内に虫垂が認められるAmyand's herniaは稀な疾患である.自験例と本邦報告の35症例を集計し,文献的考察を加えて報告する.
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© 2012 日本臨床外科学会
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