抄録
症例は96歳,女性.右側腹部痛を主訴に当科を受診し,精査で閉塞性イレウスと診断された.右側腹部に弾性軟である腫瘤を触知し,CTで盲腸の周囲に拡張した小腸を認めた.イレウス管を挿入し,保存的加療を試みるも症状は改善しなかったため,入院後6日目に開腹下でイレウス解除術を行った.手術既往歴がなかったため,術前は内ヘルニアを疑っていた.術中所見で上回盲窩型盲腸周囲ヘルニアによる小腸嵌頓と診断し,嵌頓した小腸を整復解除し上回盲窩のヘルニア門を縫合閉鎖した後,一部絞扼に陥っていた小腸を部分切除した.盲腸周囲ヘルニアはまれな疾患であり,自験例のように術前診断に苦慮することが多いとされているが,イレウスの原因腸管を盲腸周囲に認めた際には本疾患を鑑別疾患の一つとして念頭に置く必要があると考えられた.若干の文献的考察を加えて報告する.