抄録
症例は50歳,男性.アルコール性肝硬変にて通院中であった.平成22年に入り腹水が増加し,利尿剤によるコントロールが困難となった.同時期より臍部の膨隆を認め,臍ヘルニアの診断にて経過観察をしていたところ,同年9月に臍部から水分の漏出を認め,3時間漏出が続き来院.来院時には体重が約10kg減少していた.腹部は腹水で著明に膨隆し,臍部は頂部に潰瘍形成を伴い,乳児頭大に膨隆していた.腹部造影CTでは多量の腹水およびヘルニア内容の腸管が描出された.ヘルニア部を還納し,全身状態が安定していたため待機的手術の方針とした.手術では全身麻酔下にヘルニア部を切除し,メッシュ(Ultrapro Hernia System®:UHS)を挿入した.術後経過は良好で退院となり,術後1年の時点でヘルニア再発の徴候はない.成人臍ヘルニアは比較的稀な疾患で,さらに破裂をきたした症例は散見されるのみである.