抄録
症例は27歳,男性.生来からの染色体異常(詳細不明)による精神発達遅滞を認め,異食のため内視鏡下摘出術を繰り返していた.2008年3月中旬に発熱を認めてから食習慣が変化したため,4月上旬に当院消化器科を受診した.単純レントゲン検査にて頸部と腹部に直径2mm,長さ5cmの鋭利な金属製異物(針)を認め,手術目的に当科紹介受診,同日緊急手術となった.頸部の針は門歯より約20cmの食道入口部に存在した.食道壁外から用手的に食道内へ圧出し下咽頭鏡下に摘出した.さらに開腹して腹腔内を検索すると,針は腸管内ではなく,左傍結腸溝とDouglas窩に遊離しており,これを摘出した.以上より,針により腸管穿孔をきたしたが,先端が非常に鋭利であったため,速やかに腸管壁は自然閉鎖し,汎発性腹膜炎をきたさなかったものと考えられた.