日本臨床外科学会雑誌
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症例
迷入した胆管ステントが誘因となり総胆管結石が形成された1例
増田 大機吉村 哲規松山 貴俊岡村 孝
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2012 年 73 巻 4 号 p. 952-956

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抄録

胆管内異物が誘因となって結石が形成されたとする報告はまれである.今回われわれは,迷入した胆管プラスチックステント(以下,胆管ステント)を核として総胆管結石が形成された1例を経験した.症例は58歳,男性.2000年4月,他院にて総胆管結石による急性胆管炎に対する治療として,内視鏡的胆管ステント留置術が行われた.2010年6月,右季肋部痛を主訴に当院受診した.CT,MRCPにて肝内胆管の拡張および総胆管結石を認め,10年前に留置した胆管ステントは総胆管内に完全に迷入していた.内視鏡下での胆管ステントの抜去は不可であり,同年7月に総胆管切開切石術,胆道ドレナージおよび胆管ステントの除去を行った.胆管ステントは閉塞していなかったが,胆管ステントが核となってそれを中心に総胆管結石が形成されており,胆管ステントの存在が結石形成の誘因となったのではないかと推測された.

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