日本臨床外科学会雑誌
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症例
食道縫合部の被覆に横隔膜筋弁を用いた食道内異物除去手術の1例
南野 佳英中村 透高田 実安保 義恭中村 文隆樫村 暢一
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2012 年 73 巻 5 号 p. 1085-1089

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抄録

症例は75歳,男性.発熱,嘔吐を主訴に近医を受診した.胸部X線写真で下縦隔に有鈎義歯を指摘され,当院救急搬送となった.来院時の胸部CT検査では下部食道に有鈎義歯と,食道右壁に微細な縦隔気腫を認めた.上部消化管内視鏡にて義歯の摘出を試みたが困難であったため,左開胸にて食道切開異物除去,穿孔部縫合閉鎖,食道縫合を行った.縫合不全防止のため食道吻合部に,横隔膜筋弁被覆を行った.特に合併症なく経過し,術後36日目に退院となった.義歯などの異物誤飲に伴う食道穿通症例において,縫合部補強のための被覆材として肋間筋弁,大網被覆などの報告があるが,横隔膜筋弁の報告はない.本症例から,一次縫合閉鎖部の被覆材として横隔膜筋弁の有用性が示唆された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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