日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃切除後に内ヘルニアが原因で輸入脚閉塞症を呈した1例
浜岡 道則中原 雅浩福田 敏勝住谷 大輔高橋 元田口 和浩
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2012 年 73 巻 5 号 p. 1090-1093

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抄録

症例は76歳,男性.約50日前に胃癌に対し幽門側胃切除術を施行.再建は結腸前のBillroth II法で行い,Braun吻合を付加した.今回,腹痛と嘔吐を主訴に来院.CT検査で輸入脚の著明な拡張を認めたため,輸入脚閉塞症と考え緊急手術を行った.開腹するとBraun吻合と輸出入脚の腸間膜間隙に小腸が嵌入していた.嵌入腸管の腸間膜と輸入脚の腸間膜間でバンドを形成し輸入脚の圧排所見がみられた.バンドを切離し小腸を整復後,ヘルニア門を縫合閉鎖した.Braun吻合と輸出入脚の腸間膜間隙の内ヘルニアを原因とした輸入脚閉塞症の頻度は少ないものの,早期診断および治療が重要であるため,胃切除後の合併症として本疾患も念頭に置く必要がある.

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© 2012 日本臨床外科学会
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