抄録
発生率が1万人に1人の腸回転異常症の中でも,逆回転型腸回転異常症はその約4%に過ぎない.今回われわれは逆回転型腸回転異常症を伴った直腸S状部癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.症例は56歳女性,直腸S状部癌の術前検査としての注腸検査およびCT検査で逆回転型腸回転異常症を疑った.開腹所見では,下行結腸は右側壁に弱く固定され,上行結腸はそのすぐ左側に位置した.小腸は全て腹部左側に寄っており,Ladd靱帯は認めなかった.術前の画像診断通り,逆回転型腸回転異常と診断した.術前に腸回転異常および合併奇形を把握していたことで,安全かつ十分なD3リンパ節郭清を伴う直腸低位前方切除術を行い得た.病理結果は,SS,pN2(12/55)H0 P0 M0 fStage IIIbであった.周術期はenhanced recovery after surgery(ERAS)による積極的な治療を行い,術後7日目には外科的に退院可能な状態となった.