2012 年 73 巻 5 号 p. 1200-1204
症例は78歳,男性.肝膿瘍破裂による汎発性腹膜炎に対し,洗浄ドレナージ術を施行した.術後敗血症性ショックをきたしたが症状改善,持続ドレナージにて膿瘍腔も消失し,ドレーン留置のまま1カ月後に軽快退院となった.退院後2カ月目に発熱,食欲不振を主訴に来院,CRP 26.38IU/l,WBC 27,100/μlと炎症反応の高値を認めた.CTにて肝右葉に膿瘍の再燃を認め,再入院となった.膿瘍腔造影時に右気管支も造影され,肝気管支瘻と診断した.持続ドレナージおよび抗生剤治療にて改善し,入院後3週間で退院となった.その後CT上膿瘍腔は縮小,気管支瘻も自然閉鎖し,ドレーンを抜去した.以後2年経過したが,膿瘍の再燃はみていない.肝膿瘍の破裂および気管支瘻はきわめてまれな病態であり,文献的考察を加え報告する.