症例は84歳,男性.総胆管結石に対する内視鏡的砕石術後,MRCPにて肝S5に径2cmの腫瘤を指摘され精査加療目的で当科紹介となった.肝機能異常認めず,HBs抗原陰性,HCV抗体陰性でAFP,PIVKA-II値は正常範囲内であった.腹部造影CTでは乏血性腫瘍として描出されたが,EOB・プリモビスト造影MRI動脈相では淡く造影され肝細胞相で取り込み低下を示したことから肝細胞癌が疑われた.肝切除を施行し,免疫染色から肝MALT(Mucosa-Associated Lymphoid Tissue)リンパ腫と診断された.現在術後11カ月,無再発生存中である.比較的稀とされる肝MALTリンパ腫の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.