抄録
一定基準内の肝細胞癌に対する肝移植は比較的良好な成績を収めるようになった.一方,肝移植後に肝癌再発をきたした症例の予後は極めて不良である1).それら移植後肝癌再発の特徴として,早期多臓器転移再発であり,ほとんどが術後2年以内,特に1年前後に多臓器転移で再発することが多い.今回われわれはミラノ基準外肝癌に対して生体肝移植を施行後,5年の期間を経て再発を認めた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は60歳代の男性.C型肝硬変に合併したミラノ基準外肝細胞癌に対して生体肝移植術を施行した.術後再発なく経過観察されていたが,術後5年目に胃小弯のリンパ節転移性再発を発症し,腫瘍摘出術を施行した.さらにその5カ月後には移植肝の肝静脈根部にグラフト肝転移性再発を指摘され,放射線化学療法にて治療を行うも,生体肝移植より5年7カ月後に死亡した.