抄録
67歳,女性.1991年11月に左乳癌に対しPatey法を施行された.病理診断は,硬癌,n1(3/12),ER(+),PgR(+),HER2(1+)だった.術後補助療法としてCMFとTAM5年間を施行した.以後10年間再発を認めなかった.2005年11月に,両側肺転移,多発骨転移,皮膚転移が判明した.アロマターゼ阻害薬を継続していたが,その後両側副腎転移が出現した.2008年7月に発熱で救急搬送され,来院時所見では低血圧,低血糖,低Na血症,高K血症を認めた.対症療法にても改善せず,副腎不全が疑われたため,迅速ACTH負荷試験を行いhydrocortisoneの投与を開始したところ,著明な改善を認めた.迅速ACTH負荷試験の結果,血中コルチゾールの増加がみられず,Addison病と診断した.両側副腎転移を有する担癌患者では,積極的に内分泌学的検索を行うことが重要であると考えられた.