日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性小腸癌穿孔の1例
高垣 敬一村橋 邦康増田 剛澤田 鉄二西野 光一
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キーワード: 原発性小腸癌, 穿孔, 腹膜炎
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2012 年 73 巻 5 号 p. 1282-1287

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抄録

症例は42歳,男性.昼食後腹痛が出現したため当院外来に救急搬送された.その際腹部全体の圧痛と腹膜刺激症状を認めた.腹部CT検査上腹腔内にfree airを認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中所見上回盲弁より約100cm口側の回腸で鵞卵大の硬い腫瘤を蝕知し,同部で穿孔していた.また腫瘤周囲の回腸間膜でリンパ節の腫脹を認めた.小腸悪性腫瘍の穿孔および汎発性腹膜炎との診断にてリンパ節郭清を伴う回腸部分切除術および腹腔ドレナージ術を施行した.摘出標本上,潰瘍型の腫瘍で,深い潰瘍底に穿孔部を認めた.病理組織所見上中分化型管状腺癌であった.
原発性小腸癌はイレウス症状や下血で発症することが多く,穿孔で発症する症例は非常に稀である.今回われわれは穿孔をきたした原発性小腸癌による汎発性腹膜炎の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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