日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸転移巣が穿孔した膀胱癌の1例
西野 豪志片山 和久高橋 裕兒田中 隆
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2012 年 73 巻 5 号 p. 1288-1292

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抄録

膀胱癌はリンパ節,肝臓,肺,骨などに転移しやすく,消化管への転移は非常にまれである.今回われわれは,膀胱癌の小腸転移による穿孔性腹膜炎を発症した1例を経験した.症例は70歳男性で,膀胱癌の診断でTUR-BTを施行された既往がある.手術から2年後,転移性肺腫瘍を認め,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.術後,全身化学療法を予定されていたが,反跳痛を伴う下腹部痛を発症し,外科に紹介された.腹部CTで骨盤内小腸の壁肥厚と周囲に遊離ガス像を認め,消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎と診断し,同日緊急手術を施行した.開腹所見で,回腸末端から120cm口側に5mm大の穿孔を認め,小腸切除術を施行した.切除標本で,回腸粘膜に周堤を伴う潰瘍病変を認め,病理組織学的検査で,異型を伴う移行上皮細胞を認め,膀胱癌からの転移と診断された.術後6カ月が経過した現在,全身化学療法を継続中で,新たな再発転移を認めていない.

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© 2012 日本臨床外科学会
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