抄録
症例は72歳,男性,夕食摂取後に強い心窩部痛と嘔吐を認め,救急搬送された.来院時意識は清明で,vital signに異常なく,上腹部中心に強い自発痛と圧痛を認めた.特に既往歴がないことから直ちに腹部CT検査を施行し,whirl signを認め小腸軸捻転と診断し緊急手術を施行した.術中所見では,小腸は上腸間膜動脈を中心として時計方向に360度回転しており,約180cmの小腸を切除した.本症例は開腹手術の既往がなく,腹腔内に癒着,索状物,先天異常など捻転の原因はなかったため,原発性小腸軸捻転と診断した.本邦では成人原発性小腸軸捻転症は比較的稀であり,開腹既往のない成人症例に限ると,医学中央雑誌で検索しうる限り本症例を含め42例が報告されているのみであった.若干の文献的考察を含め報告した.