日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸軸捻解除術後早期再発をきたした1例
小川 雅生今川 敦夫出村 公一川崎 誠康堀井 勝彦亀山 雅男山内 道子
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2012 年 73 巻 6 号 p. 1407-1410

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抄録

症例は97歳,女性.嘔吐を伴う腹痛を認め,当院受診.腹部CT検査でwhirl signを認めたため,小腸軸捻転症と診断し,緊急手術を施行した.開腹すると小腸は腸間膜根部で時計回りに360度回転していた.さらに小腸を検索したところ,Treitzから30cmの部位に約10cm大の巨大な憩室を認めた.この憩室が原因となり,腸管が捻れたと考えられたため捻転を解除し,憩室を切除した.術後経過良好で退院したが,術43日目に再び同症状が出現した.腹部CT検査でwhirl signを認めたため,小腸軸捻転症再発と診断し,手術を施行した.小腸は前回と同様に回転していたが,腹腔内に癒着や索状物は認めなかった.捻転を解除し,再発予防に腸間膜を腹壁に固定した.本症例のように再発する可能性があり,捻転解除とともに腸間膜固定術などを追加しておくべきであると考えられた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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