抄録
症例は76歳,女性.突然の腹痛を主訴に受診した.来院時反跳痛は認められず,白血球数は5,950/μLであった.腹部造影CT検査では明らかな遊離ガス像は認められなかったが,広範囲に及ぶ小腸の壁肥厚と右傍結腸溝に腹水を認めた.その後腹痛が増強し腹膜刺激兆候が出現したため試験開腹を行った.回腸末端前壁の憩室から腸液が流出しており,回腸憩室穿孔の診断で回盲部切除および腹腔洗浄ドレナージを行った.術後経過は良好で第15病日に退院した.病理組織検査では,炎症を伴う仮性憩室の穿孔であった.
回腸憩室の穿孔または穿通の報告は稀で,その多くは腸間膜側に穿通し腸間膜内膿瘍を形成すると報告されている.自験例は回腸前壁の憩室が腸間膜外に穿孔を生じた非常に稀な症例であるため,文献的考察を踏まえ報告する.